観劇メモ 東京夜光『世界の終わりで目をつむる』@小劇場楽園

小劇場楽園にて観劇しました。


B1と同じ2方向の客席。そして天井が低い。客席の頭上すぐ真上にサスライトがぶら下がってました。なんかコウモリみたいでした。

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結果的にこの閉塞感強めの劇場がこの公演内容にぴったりとはまっていました。


感動したのは、ダンス・歌を使わないのにも関わらず途中で飽きずに引き込まれたこと。


今まで見た芝居にはない事でした。練られながらも無理のない脚本と肩の力の抜けた芝居と演出でしっかり引き込む、重すぎず軽すぎずの絶妙なタッチでした。


これぞ芝居だと思いました。なんとなく「こんな芝居観たいなあ」とぼんやり思い浮かべていた作品にとても近くて、本当に出会えて良かった。


内容は、主宰の川名幸宏さんの実体験を元にしていますが、それはあくまで三畳間に宗教団体の美女が人違いで訪れるというところまで。


その後は、もしその女性と恋をしたらどうなるかという妄想を描いてます。導入はノンフィクション、展開はフィクション。何度も書き直され、完成までに2年。書き上げるまでには相当な苦労があったことは想像に難くないが、『導入はノンフィクション、展開はフィクション』という作り方はとても参考になりました。




隣の部屋から聞こえるうめき声。物語の最初と最後のシーンに登場するが、その使い方がとても良い。リストカットしようとする主人公のうめき声に重なるように隣人のうめき声が聞こえてくる。

舞台上に設置された柱。転換の度に少しずつ外されていきます。舞台の隅に三畳間の部屋(布団、漫画ばかり入った本棚、目覚まし時計)は、シーンが変わってもずっと据え置きなんだけど、柱があることによって、ちょうど三畳間との境界線になっている。


転換の抽象的な場面。青白いライトの中、柱から登場人物が主人公をじっと見つめる。主人公は怯えたように布団で身を隠す。『世間の目』を上手く表していた。


あと小劇場は張らなくても声が届くから、自然な演技が出来る。そして、そんな芝居が観れる。


という発見もありました。